SESの 年収は どう 決まる?
SESの年収は、ほぼ次の式で決まります。
年収 ≒ 月単価 × 12か月 × 還元率
単価は客先があなたの稼働に対して払っている月額、還元率はそのうち給与として還元される割合です。たとえば単価が月60万円、還元率が60%なら、年収はおよそ432万円になります。
この式からわかるのは、年収を上げる方法は「単価を上げる」か「還元率を上げる」かの2つしかないということです。そして、SESで年収が上がらない人の多くは、このどちらかが構造的に上がりにくい状態に置かれています。
SESの 年収が 上がらない 理由は?
1. 商流が 深く、 単価が 削られている (多重下請け)
SESでは、客先(エンド企業)の仕事が、元請け、1次請け、2次請けと複数の会社を経由して、あなたの会社に届くことがよくあります。これが「商流」で、間に入る会社が多い状態を「多重下請け」と呼びます。
間に入る会社は、それぞれ自社の取り分を差し引いてから次の会社に仕事を渡します。仮にエンド企業が月100万円を払っていても、間に入る会社が1社につき10万円ずつ差し引けば、3社を経由した時点であなたの会社に届く単価は月70万円です。あなたのスキルや働きぶりが同じでも、商流が深いだけで単価は下がり、年収の上限も下がります。
2. 還元率が 低い
単価が十分でも、会社に残る割合が大きければ年収は上がりません。単価が上がったのに給与が据え置きだった、という場合はこのパターンです。
還元率の考え方と確かめ方は、SESの還元率の平均と、自分の還元率の確かめ方で詳しく解説しています。
3. 単価が 上がる 経験を 積めない
単価は、担当する工程と技術で大きく変わります。テストや運用保守など、いわゆる下流工程の案件が続いたり、案件を自分で選べずに同じような仕事が続いたりすると、単価の高い案件に移るための経験が積めません。同じ現場に長くいるうちに、単価も年収も据え置きになっていることもあります。
4. 自社の 上司が、 あなたの 仕事を 見ていない
客先常駐では、あなたの仕事ぶりを毎日見ているのは客先の人で、評価を決める自社の上司ではありません。そのため、評価が在籍年数や形式的な基準で決まりやすく、成果が給与に反映されにくくなります。
自分は どの 原因に 当ては まる?
次の3つを確認すると、原因の見当がつきます。
単価を知っているか
知らない場合は、まず単価の確認から始めてください。確認方法と会社への聞き方は、SESの単価の確認方法にまとめています。
還元率は低すぎないか
単価がわかれば、還元率はすぐに計算できます。
商流は深くないか
自社が何次請けかは、営業に聞けば教えてもらえることが多いです。聞きにくい場合は、現場の打ち合わせに自社や客先以外の会社名が多く出てくるか、自分が名乗る会社名と実際の所属が違うか、などがヒントになります。
単価・還元率・商流の3つを入力すると、還元率と年収の目安がわかります。単価がわからなくても使えます。
SESの 年収は、 他の 働き方より 低いのか?
公的な統計には、SESで働く人だけを切り出した年収のデータはありません。参考になるのは、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」に載っている、職種別の給与です。
令和5年の調査では、SEやプログラマーを含む「ソフトウェア作成者」(男性)の月々の所定内給与(残業代や賞与を除く)は35.0万円、プロジェクトマネージャーなどを含む「システムコンサルタント・設計者」(男性)は44.1万円でした。同じIT職でも、上流の職種のほうが約1.26倍高い水準です。
自分の給与をこうした職種別の水準と比べて大きく下回っているなら、ここまで見てきた構造の影響を受けている可能性が高いです。同じスキルでも、商流の浅い会社や還元率の高い会社に移るだけで、年収が変わることは珍しくありません。
SESで 年収を 上げるには? 3つの ルート
| ルート | 年収の伸び方 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 今の会社で単価を上げる | 還元率と商流の範囲内で上がる | 会社の還元率や商流に大きな問題がない人 |
| 商流が浅い・還元率が高いSESに移る | 同じスキルのままでも上がることがある | 今の会社の還元率が低い、商流が深い人 |
| SESを出る(社内SE・自社開発・上流工程) | 働き方ごと変わり、伸び方の上限が変わる | 客先常駐そのものを変えたい人 |
ルート1:今の 会社で 単価を 上げる
上流工程の経験、リーダー経験、需要の高い技術の経験を積み、案件の更新や切り替えのタイミングで単価の高い案件に移ります。ただし、還元率が低い、商流が深いという問題がある場合、単価が上がっても年収はあまり上がりません。
ルート2:商流が 浅い・還元率が 高い SESに 移る
客先常駐という働き方は変えずに、年収の決まり方を変えるルートです。元請けや1次請けの案件が多い会社、単価や還元率を公開している会社を選ぶと、同じスキルでも年収が上がる可能性があります。
ルート3:SESを 出る
社内SE、自社開発企業、ITコンサルなど、客先常駐ではない働き方に移るルートです。評価する人があなたの仕事を直接見ている環境になるので、成果が年収に反映されやすくなります。
運営者より
僕自身、新卒でSESの立ち上げに関わり、その後の転職をきっかけに上流工程へキャリアを広げました。今の年収は新卒の頃の2.5倍です。振り返ると、大事だったのは頑張る量ではなく、年収の決まり方そのものを変えたことでした。
年収が 上がらないと 感じたら、 まず 市場での 評価を 知る
どのルートを選ぶ場合も、判断の土台になるのは「今のスキルと経験なら、市場でどのくらいの年収が見込めるか」です。これがわかれば、今の会社に残って単価を上げるべきか、会社や働き方を変えるべきかが見えてきます。
自分だけで相場を調べるには限界があります。転職市場を日々見ている人に聞くのが一番早く、今すぐ転職するかどうかを決めていなくても、残る場合にも動く場合にも役に立ちます。
動くならこの順番
ステップ1:自分の単価・還元率・商流を確認する
年収が上がらない原因がどこにあるかを、まず数字で把握します。
ステップ2:還元率チェックで年収とのバランスを見る
単価に対して年収が見合っているかを確かめます。
ステップ3:原因に合ったルートを選ぶ
今の会社で単価を上げるか、会社を変えるか、SESを出るかを決めます。
ステップ4:転職相談で市場での評価を答え合わせする
今のスキルで見込める年収を知ると、どのルートが現実的か判断できます。
